160_Pleurotus_ostreatus_1160-  Pleurotus ostreatus 

161 Pleurotus ostreatus 2161-  Pleurotus ostreatus      《1892年10月30日》

162 Pleurotus ostreatus162-  Pleurotus ostreatus      《1891年7月に描き直す》

解釈: Pleurotus ostreatus (Jacq. : Fr.) Kummer

仏名: Pleurote en forme d'huitre,プロヴァンス語で 《 Aurheto negro 》、《 Negro 》

【カキ(貝)形のヒラタケ、黒い耳の意】

【和名:ヒラタケ、ヒラタケ属】

      この三枚の図版はまだ若い Pleurotus ostreatus 【ヒラタケ】の特徴がよく表わされており、この種がもつ多様な色合が見られる。

      ヒラタケは材上生で、傘の色は生育環境と生育段階、気象条件などによってかなり異なる。最初はしばしば黒に近い灰色、青灰色でのち暗紫色からリラ色あるいは類緑色を経て褐色までの色合いがある。

       立木に発生する場合は、柄は短く傘に対してほとんど側生し、傘が基物から直に生えているように見える。

      その良い例が図版161の褐色の傘に見られるごとく、典型的な束生-重生である。

      図版162もまたこの種の典型的な外観を有するが、傘のこの青緑色は数人の菌学者によれば  P. ostreatus var. serotinus を想定させるという。

      図版160には、図版162とよく似たキノコが左側に見られるが、右の一団は色が他と異なり、黄土褐色である。ファ-ブルはこの種の色の変化性を承知ですべてをヒラタケと同定している。基物が横になっている場合には、通常傘は成熟とともに漏斗形になり、柄は図版160の右側の黄土褐色のキノコのようにほとんど傘の中心に付く。以前はこの二つの特徴を持つキノコを P. spodoleucus の学名でヒラタケと区別していた。

      ヒラタケは晩秋から冬の間に発生し、寒さを好み凍結にも耐える。頻繁には見られないキノコだといわれるが、それはおそらく寒い時期には採集者があまり森へ行かないためだと思われる。

      近種の  Pleurotus pulmonarius 【ウスヒラタケ】は春から秋まで、林内の特にブナの弱った木や倒木上に見られる。このキノコの傘は最初白色、のち僅かにリラ色がかったクリーム色ついには淡い褐色になる。ヒラタケ同様食用となるが、特にウスヒラタケといくつかの雑種は人工栽培されて市場で売られている。

      ファ-ブルはプロヴァンスでよく見られるヒラタケ属の食用のもう一種を良く知っていたと思われる。それは Pleurotus eryngii であり、プロヴァンス語で 《 Panicaou 》 と呼ばれ【日本では未知種】、図版160 の右側のキノコが、柄の中心生、傘の色などからこの種を思わせる。

      P. eryngii は 《 panicaut 》(植物名=Eryngium campestre)と呼ばれるセリ科のヒゴタイサイコ属の刺のある草本の根に発生する。今日でもガリッグ【地中海地方の石灰質の乾燥地帯のガリッグ地域に散在する林】や未開墾地で探されるキノコだが、時には市場でも売られている。しかしこのキノコは葡萄畑の拡大により、宿主の panicaut 同様に稀になってしまった。


 

163 Pleurotus phosphoreus Omphalotus illudens

163-  Pleurotus phosphoreus Battara

解釈: Omphalotus illudens (Schw.) Sacc.

異名: Clitocybe olearia (D.C. : Fr.) Maire

仏名: Pleurote (または Clitocybe) de l'olivier 【オリ-ブの木のヒラタケ(またはカヤタケ)の意】

 プロヴァンス語で 《Boulet d'Oulivier》 【オリーブの木のイグチの意】

【和名:なし、日本では Omphalotus 属はまだ一種も知られていない】

      図版のキノコは全体の様子からヒラタケ属よりむしろカヤタケ属を想定させる。以前から Omphalotus illudens は曖昧な外観のために、いつも前記の二つの属のどちらかに置かれ、フランスでは現在でも通称としてこの二属の名前は保持されている。また図版のキノコは、ひだがクリ-ム白色の  Lepista  inversa 【コブミノカヤタケ】に少し似るが、O. illudens のひだは黄色~帯赤褐色である。

      O. illudens は有毒キノコで嘔吐や激しい下痢を起こす。コブミノカヤタケを食用にする人は、このキノコと間違わないようにしなければならない【日本では有毒の O. illudens は未知種だが、日本の種である猛毒のドクササコはコブミノカヤタケによく似ているので注意が必要である】。コブミノカヤタケの肉はやや酸味があるが、プロヴァンス地方ではとても好まれているキノコで、生育地に因んで《シーダーのジロル》または《シーダーの赤毛娘》と親しく呼ばれている。

      O. illudens は傘がオレンジ色で、若い子実体は Cantharellus cibarius 【アンズタケ】(図版45)と混同することもあるが、アンズタケはひだではなく、厚いしわひだが疎な波状でその間は互いに横脈によってつながれているが、コブミノカヤタケのひだは薄く、密である。

        このキノコは異名および仏名で《オリーブの木のカヤタケ》と呼ばれるが、オリーブの木ばかりではなく他にもナラ、クリ、などの切株や枯れた根の地面ぎわに束生し、傘はサフラン黄色~オレンジ褐色で光沢がありとても目立つキノコである。地中海地方では春からよく見られが、ロワール河以北で稀である。ヨーロッパには珍しくひだに発光性があるキノコで、暗闇ではホタルのような光を放ち、時にはそれで字が読めることもあるという。


 

 164 Pluteus cervinus g salicinus d pellitus

164-  【左】    Pleurotus cervinus  Schaeff.

      《1878年11月19日、ポプラの切株上、深く薄暗いくぼみ、1891年7月に描き直す》

解釈:不確か、Pluteus salicinus (Pers. : Fr.) Kummer ?

【和名: ビロードベニヒダタケ、ウラベニガサ属】

      図版のキノコは傘や柄の色から見てむしろ Pluteus salicinus 【ビロードベニヒダタケ】を想わせる。Pluteus cervinus ((Schaeff.) Kummer 【ウラベニガサ】の傘はセピア~すす褐色、放射状の条線があるが、ビロ-ドベニヒダタケの傘は青灰色で、中央部はもっと濃い色である。ウラベニガサの柄は下部が僅かにふくらみ、表面は白色の地にすす褐色の縦の繊維紋があるが、ビロ-ドベニヒダタケの柄は長い間白色のままである。結局ファ-ブルの図版は、これら二つの種の中間に位置するキノコではないかと思われるが...

      ウラベニガサとビロ-ドベニヒダタケの両方とも秋に広葉樹林の切株や枯れ木に発生する。食用的な価値はあまりない。

 

  【右】  Pluteus pellitus      《1886年11月7日、1890年7月描き直す》

解釈:不可能 【P. pellitus (Pers. : Fr.) Kummer, non ss. Ricken は実在しない種と思われている】

      ファ-ブルのこの小さな Pluteus は なんだろうか?図版の右のキノコのひだは白色で桃色ではない(ファ-ブルが描き忘れたか?)。

      柄の下部は膨らみ、傘はやや中高と言った特徴は Pluteus semibulbosus (Lasch) Gill.ではないかと思われる。この白色の小型の種はひだが長い間白色でのちくすんだ桃色になる。広葉樹林の枯葉に発生し、あまり頻繁には見られないキノコで、食用かどうかは不明である。