127 Lactarius insulsus zonarius v scrobipes

128 Lactarius zonarius v scrobipes

129 Lactarius insulsus zonarius v scrobipes

127-  Lactarius insulsus  =  zonarius Bull.    《1893年8月28日描き直す》

128-  Lactarius zonarius Bull.

129-   Lactarius insulsus  =  zonarius Bull.      《1891年9月13日》

解釈: Lactarius zonarius (Bull. : Fr.) Fr. var. scrobipes Kühn. & Romagn.

【環紋のあるチチタケ、あばたのある足の意】

【和名:キカラハツモドキの-変種】

 

      これらの三枚の図版は、zonarius 群【キカラハツモドキ群】に属する同一のキノコで、柄にあばた状のくぼみのある Lactarius zonarius var. scrobipes だと推定される。

      キカラハツモドキ群のチチタケは、傘がオレンジ褐色で、それより濃色の同心環紋が多少見られ、ひだと柄の色は傘より薄く(ファ-ブルの図版の柄は白すぎると思われる)、肉はとても辛く、乳液は白色で空気に触れてもほとんど変化しない。

      Lactarius zonarius var. zonarius にも時には柄にいくつかのあばた状のくぼみが見られるこがあり、var. scrobipes と区別するのは難しい。

      キカラハツモドキ群には他にも次の数種などがある:

  -Lactarius evosmus Kühn. & Romagn. の傘はキカラハツモドキよりもっと黄色っぽく、環紋は不鮮明で、肉は果物の香りがする。

  -Lactarius acerrimus Britz. は同じく果物の香りがし、傘縁は波打ち、柄は偏心性、ひだは癒合している。

  -Lactarius bresadolianus Sing.。

    キカラハツモドキ群のすべての種は変異性に富み、顕微鏡的特徴の検査なしには種の同定は難しい。

 

130 Lactarius

130 -  Lactarius   《1893年9月10日に描き直す》

解釈: 不可能

 

      ファ-ブルはこのキノコの同定をしていないので、実際には解釈は非常に困難である。この水彩画によれば、柄にはあばた状のくぼみがあり、傘はオレンジ褐色、環紋が見られ、ひだは傘と同色。断面図によれば乳液は無色のようなので、特に柄にくぼみが有り、乳液が黄色か赤色のすべての種を除外することができる。

      この図版も Lactarius zonarius var. scrobipes を思わせるが、ファ-ブルは既に前図でこの種を同定したのに、何故ここではできなかったのだろう?図版127,128、129と図版130を比べて見ると、この図版の傘の環紋は異例である。このような環紋は L. torminosus 【カラハツタケ】の近縁種 L. mairei Malençon を想定させるが、この種は傘に著しい軟毛があるのにくらべて、図版の傘縁は無毛で、柄にはあばた状のくぼみがあるので、除外しなければならない。

        もう一つの推定は Lactarius curtus Britz.(= L. hysginus ss. Kühn. & Romagn.) で、傘の表面は無毛で、時には環紋があり、柄にはくぼみか染みが見られることもある。肉は辛く、《酸化した獣脂》の臭いだと言われているが、ファ-ブルはこの特徴については沈黙しており、私達の推定は説得力に欠ける。

 

 

131 Lactarius vietus cf

131- 【左】 Lactarius vietus ?        《1892年11月10日》

        【右】 Lactarius ?       《1892年11月22日》

 解釈:不可能

 

      ファ-ブルが 《 Lactarius vietus 》【コキハダチチタケ】と同定したキノコは、水彩画だけでは何んとも言えない。

      右図の《 Lactarius?》はむしろキカラハツモドキ群の一種を想わせるが、それならば前図の場合と同様、何故ファ-ブルは同定できなかったのだろうか?図版130のキノコと同じではないだろうか?前図同様解釈は不可能である。

 

 

132 Lactarius violascens

132-  Lactarius violascens OttoQuélet の Uvidi varietas ?  サランシュ【地名】1890年9月4日

解釈: Lactarius violascens (Otto : Fr.) Fr.

【和名:ウズハツ、トビチャチチタケ節】

 

      Uvidi 節【トビチャチチタケ節】のキノコは、肉は辛く、乳液は空気に触れると紫変する。それは図版にも見られるように傷ついたところが紫がかった染みになる。サランシュという生育地を考慮すると、この群の多くの種の中から高山性(1500 m以上)と地中海性の uvidi 節の種を排除することができる。

      図版のキノコは傘が黒に近い紫色で、北の丘陵地帯で採集されたことから、Lactarius violascens 【ウズハツ】だと思われる。ウズタケの傘の表面は濃い紫色で、通常同心環紋は、図版とはちがって傘よりもっと濃い色である。しかしこの点については、菌学者の記述はそれぞれ異なっている。作家が実際のキノコを記述するのであれば、見解の相違は当然であるが、単に他の著作を引用するだけではそれほど大きな違いは生じない。

 

 

133 Lactarius volemus lactifluus volemus_0009

133-  Lactarius volemus Fries,  Lactarius lactifluus Schaeff.    《1893年4月27日描き直す》

解釈: Lactarius volemus (Fr. : Fr.) Fr.

仏名:Vachette【若い乳牛】

【和名:チチタケ、チチタケ節】

 

      Lactarius volemus 【チチタケ】は大型の種で、傘の径は10 cm を優に超え、かなりよく見られるキノコである。肉は辛味がなく、白色の乳液はきわめて豊富(仏名の由来)。通常柄は傘とほとんど同じくオレンジ黄色であるが、図版の柄は白すぎる。

      チチタケは《キクイモを煮ている最中》のような、あまり強くはないが独特の臭いがある。戦時中の1943-1944年に食料としてキクイモを食べた人には記憶にある臭いである。しかし、エビやカニあるいはニシンの臭いだと言う人もいる!こと嗅覚に関しては十人十色で個人差がある。したがってコンピューターによるキノコの同定は難しい。

      近種の Lactarius rugatus Kühn. & Romagn. はチチタケより小型で、乳液は少なく、臭いはほとんどなく、傘縁にはしばしば同心円のしわが見られる。同じくらいの大きさの L. volemusL. rugatus の見分けがつかない時は、硫酸鉄の小片で肉をこすると L. rugatus はすぐに変化はないが、L. volemus はたちまち濃い緑色に変わる。

 

 

134 Lactarius cf


 

134-  Lactarius    《乳液は白色で辛い、レ・ブルイエール【地名】、1893年9月4日描き直す》

 解釈:不可能

 【和名:チチタケ属の一種】

 

      ファ-ブルはこのキノコにどんな種名も記していない。肉に付着したこの白い乳液が、空気に触れるとどうなるかは、同定の重要な手掛かりである。図版のキノコのあまりつやのない褐色の傘は L. fuliginosus 群【ウスズミチチタケ群】の一種を想わせる。この群のキノコの乳液は初め白色だが、空気に触れると肉の断面では《練り歯磨き》のような桃色に変わる。しかし通常傘が図版のような濃い色であれば、柄は褐色である。

      また L. fuliginosus var. albipes 【白い足の意】があるが、傘の表面はファ-ブルの図版よりもっと淡い色合いである。

      従ってこの図版だけで同定に導くのは困難である。