50_Clathrus_ruber50 -  Clathrus ruber        《1877年5月19日  》
解釈: Clathrus ruber Pers. : Pers.
異名: C. cancellatus
仏名: Clathre grillagé, Lanterne rouge [籠茸、赤提灯 の意]
【和名:アカカゴタケ(アカカゴタケ属)】

      図版の三つのキノコは、この不思議な種の成長過程がうまく要約されている。左のものは卵形で幼菌の段階であり、落葉や腐植土の中に埋もれている。右は《孵化》の始まりで膜質の《殻》が割れ始めたところ。そして真ん中のものは完全に成長した状態で、殻の名残がつぼを形成し、その基部の菌糸紐によって栄養が運ばれている。

      とても美しい不思議なアカカゴタケは暑さや湿気を好み、南仏や大西洋岸、バスク国、シャラント地方、ブルターニュ地方、時にはノルマンディー地方、に限って分布する。 

      林内、塀や壁などの近くの荒れ地、公園などの腐植土や腐った埋れ木を選んで発生する。その嫌な臭いは死臭がし、ハエをひきつける。目にする以前に既にその臭いで、このキノコがあることが解る。

      とても脆いキノコなので《孵化》したばかりでも、完全な状態のものを見ることは少なく、しばしば倒れたり壊れて破片が散らばっている。完全なものが楽しめるようにある手段を用いることがある:熟した子実体の近くに、ときには半分ほど腐植土に隠れてかなり成長した卵が見つかる。それを慎重に持ち帰り、苔の上に湿気と少しの暖を与え、風を避けて置く。もちろん、悪臭がひどいので、この試みをする前に十分に場所の検討が必要である。おそらくファ-ブルもこの図版に見られるような素晴らしいキノコを得るためにこの手段を用いたと思われる。


 

51_Clavaria_botrytis_acroporphyrea51 -Clavaria botrytis  Persoon   《1891年9月》  Clavaria acroporphyrea  Schaeff.
解釈:Clavaria botrytis (Pers. : Fr. ) Ricken (1918)
仏名:Clavaire chou-fleur 【カリフラワーホウキタケ  の意】
【和名:ホウキタケ  (ホウキタケ属)】

      ファ-ブルの図版はこの種の特徴を良く表わしていて、太い胴体からいくつも分枝し、言葉で言い表わすのは難しいがとても特徴的であり、特にその先端が赤紫を帯びた桃色で、他の部分の白色とコントラストをなしているのが、Ramaria  (ホウキタケ属)の中では、たぶんホウキタケにだけしか見られない特徴だと思う。

      昔は、《相観分類》主義で、外部形態からキノコを分類していた。ファ-ブルの時代には、樹枝状をした全てのキノコが  Clavaria 【シロソウメンタケ属】に属すると考えられていた。その中で特に胞子紋は黄色、黄土色または褐色、胞子は楕円形で、刻紋がコットンブルー染色液に染まるなどの胞子の特徴を持つ種類が、Ramaria 【ホウキタケ属】として現在では新しい属を形成している。通常は地上性であるが、時には材上性。

      ヨーロッパでは、このキノコは珍しくないが、分布は一律ではない。フランスでも普通に見られるが、北部では暖かい所を好んで発生する。ブナ、針葉樹の腐植土や沼地にも生える。

      人目を引く美しいキノコなので識別は簡単である。ホウキタケは美味しいので良く食用とされるが、時に下痢を起こす人もいる。


 

52_Clavaria_flava52 -  Clavaria flava     《1892年10月15日》
解釈:おそらく  Ramaria flava (Schaeff. Fr.) Quél.
【和名:キホウキタケ  (ホウキタケ属)】

      この図版はキホウキタケを想定できるが確かではない。なぜなら、同じ様子をしている他の黄色のホウキタケがたくさんある!従って、ファ-ブルの同定は正しいと言える。しかし、肉質の赤変や胞子の刻紋、クランプの有無と位置などを調べることは不可能である。                   

      子実体の色からして R. formosa 【ハナホウキタケ】と他の桃色系の種は文句なく取り除かれるが、R. aurea 【コガネホウキタケ】, R. flavobrunnescens, R. lutea 【キホウキタケ】,R. obtusissima 【トサカホウキタケ】,などの一連の金色の種がまだこれだけ残っている。

      もし、肉の色の変化や顕微鏡的特徴が一致すれば、ファ-ブルが同定したように Clavaria flava なのだが... ヨーロッパでは、山でも平野部でもよく見られるキノコだが、フランスでは珍しく、特に北部ではたいへん稀である。広葉樹や針葉樹林の柔らかい土、あるいは牧場の周辺に発生する。美味しいと言われている。