16 Armillaria mellea, 6 8bre 1890

 

16 - Armillaria mellea 《1890年10月6日》Editer ce message

17 Armillaria mellea, 29 8bre 1893

17    Armillaria mellea  《1890年10月29日》

解釈:Armillaria mellea (Vahl. : Fr.) Kummer

仏名:Armillaire couleur de miel 【蜂蜜色ナラタケの意】

【和名:ナラタケ  (ナラタケ属)

      この二枚の図版はかなり図式的だが、ナラタケであることがよくわかる。成長した子実体では傘はしばしば破れていて、乾燥時に採集したことがわかる。ファ-ブルは傘の詳細を簡略化して、典型的な特徴である褐色を帯びた微細綿毛を描かなかったと思われる。

      ここに見られるキノコは痩せ型で、柄が褐色であり、17番の図版のつばは黄色だが16番のそれは白色であるところから、採集後しばらくたったものを描いたと思われる。

      ナラタケは千変万化で、大きさ、形、色はとても多様である。柄は基部で太くなったり、細くなったりする。永続性のつばは白い綿毛状で柄の上部に付く。傘の色は蜜色褐色~赤褐色で、褐色の繊維状燐片が中央に見られる。ひだはやや密、わずかに垂生~直生、初めは白色でのちに赤褐色の斑紋になる。

      食用だが、柄は硬くて食べられない。乾燥した夏の終に、他のキノコがまだ出ない時など豊富に発生するナラタケは喜ばれる。

      ナラタケは樹木上に多数で束生するが、埋れ木に単生することもある。

      この恐るべき寄生菌は、菌糸紐を作りながら、寄生する木の皮に浸透して白腐されを起こす。

  -Armillaria tabescens (Scop.) Emel 【ナラタケモドキ】 (55番と56番の図版を参照)は、ナラタケと違って、つばを欠き、柄はかなり細く、ひだはすぐ赤褐色になる。ナラタケより早く発生し、コナラ属やクマシデ属の森の湿った土を好む。

  -Armillaria obscura (Sch. : Fr.) Herink 【日本ではまだ知られていない?】 は傘は赤褐色~暗褐色で、それよりもっと濃い色の燐片が散らばっている。若い子実体の柄には少し縞がかったつばがある。この種はとくに針葉樹に寄生する。

  -Armillaria ectypa (Fr.) Lamoure はもも色がかった小さなキノコで、つばを欠く。高地の泥炭地のみずごけに単生する。

  -Armillaria bulbosa (Barla) Velen. はもう一つの多様な種で、傘は黄土色~黄褐色。腐生菌でいつも草の中に見られる。


 

18 Auricularia mesenterica judae c

18 (左)Auricularia mesenterica Pers. tremelloides Bull.   《1892年12月28日》

解釈: Auricularia mesenterica (Dicks.) Pers

仏名: Auriculaire fausse tremelle 【偽シロキクラゲ  の意】

【和名:ヒダキクラゲ  (キクラゲ属)

(右)Auricularia auricula-judae Linn. nidiformis

解釈: Auricularia auricula-judae (L.) Schroet.

仏名:Oreille de Judas 【ユダの耳  の意】、プロヴァンス語で 《Auriheto de Sambu》  【ニワトコの耳  の意】

【和名:キクラゲ  (キクラゲ属)

      ファ-ブルの図版はこの種の実際の様子にとても忠実で、上図は新鮮な子実体を下図はいくらか乾いているものを表わしている。

      この二種類のキノコは最初ゼラチン質で段々硬くなり、気候の条件がよくないと木に付いたまま乾き、湿度が戻ると膨らんで再び成長し始める。一年中見られるが、とくに湿度と寒さの冬を好む。硬すぎるのであまり食用にならない。ヒダキクラゲは各種広葉樹の枯れ木に発生する。

      キクラゲも、ブナやヤナギなどの枯れ木に出るが、とくに古いニワトコの木を好む。このキノコは耳の形をしており、それは裏切り者ユダの耳を思い起こさせて付けられた名前だといわれる。

      料理では、キクラゲは仲間のヒダキクラゲよりよく知られている。ラブレ-は書いた「パンタグリュエルは、なまをサラダで食べるのを好んだ」と。キクラゲとその仲間のいく種類かは《中国の黒いキノコ》という名前でアジア料理に使われている。そのために、ずうっとむかしから、中国や極東地域では、かなりおおがかりな栽培がおこなわれ、そのうえ、このキノコは健康に役立つと考えられている。


 

 

19 Boletus castaneus Bull Refait 29 août 1893 pl 36

 

19 Boletus castaneus 19 8bre 1893 Bouigar pl 37

 

19- Boletus castaneus Bull.       《1893年8月29日描き直す》

解釈:Boletus castaneus Bull. : Fr. (= Gyroporus castaneus [Bull. : Fr.] Quél.)

仏名:Bolet châtain 【栗色イグチ  の意】

【和名:クリイロイグチ  (クリイロイグチ属)】

      この図版については疑いの余地は全くない。傘のくり色、孔口や肉は白色、とくに柄は中空と言った特徴がクリイロイグチであることを保証してくれる。初心者でさえ間違うことはない。

  このイグチは頻繁には見られない小型のキノコであるが、少し石灰分の混ざった砂地などの成育環境が好ましいと、かなり大きいのが見られる。食用であるが(硬いので柄は除く)、管孔がすぐに虫食いとなるのであまり採集されない。南国の典型的な種ではなく、フランス全土や世界の多くの地域で見ることができる。


 

Boletus cyanescens, 11 9bre 1893, page 226 Jean-Henri FABRE

20 -   Boletus cyanescens       《1893年10月11日》

解釈:Boletus cyanescens Bull. : Fr. (= Gyroporus cyanescens [Bull. : Fr.]Quél.)

仏名: Bolet bleuissant, Indigotier 【青変イグチ、インジゴ  の意】

【和名:アイゾメイグチ  (クリイロイグチ属)

      傘はふつう灰色クリ-ムがかった白色のこのイグチは、指の当たったところや切口の肉が青変し、柄には小さな空洞が連なる、といった二つの特徴から、識別を誤まることはない。従ってこの図版のキノコの同定には微塵の疑いもない。

      アイゾメイグチは、普通頻繁に見ることができないが、しかし世界中に分布している種で、主として砂地に発生する。時には地中に一部が埋もれていることもある。愛好者にとって、このキノコを切ったとたん肉が目の覚めるような深い藍色に変るのを見るのは、それが百回目であってもいつも嬉しいことである。青変するにもかかわらず食用キノコで(柄は硬いので除く)、人によってはとても美味しいと言う。


Boletus lacteus Lév

21 -  Boletus lacteus      1893年5月10日描き直す

解釈:Boletus cyanescens var. lacteus ([Lév.] Quél.) Quél.
(=Gyroporus lacteus [Lév.]Quél.)【乳の白イグチ  の意】

和名:アイゾメイグチ  の変種(クリイロイグチ属)

      《乳の白》に変化したこのアイゾメイグチ(前図を参照)は、かなり稀なキノコだが、だいぶ前から知られていて(Léveillé 氏 1848年)、変種のランクに入ると思う(しかし《品種》のほうがはおそらくより適切であろう)。この二つのアイゾメイグチはほんの僅かの違いしかない:つまり、この図版の子実体は全体が真っ白というだけである(ファ-ブルはこの図版に、人工的な背景を作らなければ、その色を表わすことができなかった)。この白化現象はキノコの世界では珍しくなく、ことにアイゾメイグチの典型の場合は、すでに色素は僅かであるので驚くことはない。

      珍しい物が好きな人に、もう一つのアイゾメタケがあることをお知らせするが....それは全然青変しない!


Boletus bovinus Lin

22 -  Boletus bovinus  Linn.《1889年11月1日、松、エスコフィエ 【地名】》
解釈: Boletus granulatus ? (forma)(=Suillus granulatus ( [L : Fr.] Roussel)
仏名: Bolet granulé, Nonette 【粒点イグチ、若い修道女 の意】

【和名:チチアワタケの品種?(ヌメリイグチ属)

     
       これは秋に松林に豊富に発生する傘が粘質のイグチの一つだが、この図版を分析した後でも、まだ不明なところが残っている。

      先ず、なぜ、ファ-ブルが付けた名前 Boletus bovinus (アミタケ)が受け入れられないのだろうか?  このキノコのシルエット、特に細い柄はアミタケといえなくもないが、それ以外は:

  -傘の色は濃すぎる。

  -管孔は十分に垂生していない。

  -孔口は小さすぎ、あまり放射状に並んでいない、また典型的なオリ-ブ色にも欠ける。

  -傘の外縁は鋭角ではなく、そのうえ十分に褪色していない。

      柄の下部が僅かに桃色なのは、アミタケにも言えることだが、それは柄の基部に限られる。もう一つの種であるやはり松林に生える Boletus (Suillus) collinitus の特徴がそれに当てはまる。また傘も濃い色で同じくこの collinitus に当てはまるが、全体がすらりとしすぎている、しかし以上の推定を覆す決定的な特徴があり、それは:collinitus の柄は(特に成長した子実体、特に地中海性のもの)、少なくとも上部に、最初黄色ですぐに赤褐色になる細かい粒点をまき散らしていることである。このように細心の注意と正確さで描かれた図版から、ファ-ブルがこの粒点を描き忘れたとはとても思えない。

      おそらくこの図版のキノコは、自然否、菌学界が未だ完全に識別ができないでいる多数のチチアワタケの一品種だと思われる。チチアワタケは、いたる所に発生し、食用であるが、南仏ではときに下痢を起こすことが知られている。しかし、柄の下部が桃色、傘は濃い色、柄には細い粒点がない、といった三つの特徴を同時に持つ種はまだ確認されていない。そのことは現代の菌学者に問題を提起させるだろう。