53_Clitocybe_infundibuliformis__clavipes__redim670053 -Clitocybe infundibuliformis  【カヤタケ】    《1888年10月5日》
解釈:Clitocybe clavipes (Pers.:Fr.)Kummer
【和名:ホテイシメジ  (カヤタケ属)】

      柄は下方に向かって膨らみ、傘が褐色のこの図版の種はどうもカヤタケではなさそうである。右端の若い子実体の傘には小さないぼ状の乳頭があり、上記の二つの特徴と合わせ、一番大きな子実体の傘の縁部が波状なのはこの種の典型的な特徴ではないにしても、多分ホテイシメジであろう。傘の色を少し濃く描きすぎたのではないかと思われるが、ひだの色もふつうこの種に見られるクリ-ム色ではない。

      通常は広葉樹林に良く発生するが、ファ-ブルのキノコの柄の基部にも見えるように針葉樹林にも発生する。

      ホテイシメジは中型のキノコで、時には丈が7cmくらいに達するものもある。柄の下部が明らかに膨れており、傘はややへこみ、肉はとても厚いといった特徴で他のカヤタケ属の種と区別される。ひだは長く垂生、クリーム色がかった黄色、肉は快い香りがするが、柄の肉は全くスポンジのようである。

      柄がこん棒状のカヤタケは、秋に混合林や広葉樹の落葉層に出る。カヤタケ(Clitocybe gibba [Pers. : Fr.]Kummer  = infundibuliformis)は夏頃から発生し、傘は漏斗形で、柄の下部は僅かに膨らむ。二つとも食用である。

 


 

54_Clitocybe_maxima          54 -Clitocybe maxima  【オオジョウゴタケ】      《1892年11月12日》

解釈: Clitocybe geotropa (Bull.) Quél.
仏名:Tête de moine 【修道者の身分を示す目印として頭頂部の毛髪を環状に刈り取る】
【和名:オオイヌシメジ  (カヤタケ属)】

      この大きい方のキノコは老いたものでしかも傘の中心がとても凹んでいるが、これはオオイヌシメジである。この種の主な特徴は:

  -ひだは垂生でクリーム色。

  -切断面の白い肉は変性しない。

  -柄の下部は膨らむ。

      傘の色は、大きい子実体のは少し濃すぎるきらいがあるが、しかしこの種が持つ色の変化の許容範囲に入る。

      《修道者の頭》は秋に出る大きなキノコで、広葉樹林を好み、よく森の外れ辺りに見られる。その発生は散発的で、弧生であるが、しばしば同じ場所に大量に出る。このキノコは食用で、肉は締まり、美味で、香りも良く、乾燥保存に向いている。

    Clitocybe maxima 【オオジョウゴタケ】は高さが15cmくらいにまで達する最も大きいキノコで、傘はもっとセーム革~鮭肉色、初めは中高の平らで、後中心部が凹み、縁部は内側に曲がり、ひだは垂生である。肉は白色、やや硬く、シアン化水素を思わせる甘い臭いがする。柄は頑丈で、下部は膨らみ、基部は綿毛におおわれる。

      上記のキノコと同じ場所に出るハイイロシメジClitocybe nebularis )はよく見られるキノコで、ひだはやや垂生、傘は灰色で梅の実の表面の粉のような感じである。

 


 

55_Collybia_socialis
55 -  Collybia socialis D.C.
解釈:Armillaria tabescens (Scop,) Emel.
異名 :Clitocybe tabescens (Scop.) Bres.
【和名:ナラタケモドキ (ナラタケ属)】

ファ-ブルはこのキノコをどの属にするか迷った。彼は最初 Collybia にしたが(1887年に Saccardo 氏が Collybia 属とした)、次に、Collybia を抹消して、Barla 氏 (1892年)の付けた Clitocybe にした。ファ-ブルが記した de Candolle 氏の 《socialis》 は束生するという意味で、その傘は最初鐘形で中高、のち平らに開き、やがて真ん中が凹む。傘の色は若い時は黄褐色で、やがて褐色がかった黄色になる。中心 部には濃いささくれ状尖鱗片が目で確認できる。

ひだはかなり密、直生-垂生で、白色あるいは淡いベージュ色、その後すぐに肌色がかった桃色になる。柄は束生のためしばしば曲り、微繊維状で上部は白色下部は褐色だが時には黒色でさえある。ナラタケ(16番と17番の図版)によく似ているがつばを欠く。

栗や樫の古い切株や腐った根の上にぎっしりと束生する(Bon 氏によれば、りんごの木の根にも発生する)。パリ地方では春の終りから秋までよく見られる。南仏、西部、ロレ-ヌ地方、ジュラ地方、ブルゴ-ニュ地方に分 布する。食用であるが、若い傘だけが美味しい。ピレネ-地方では一般にとても好んで食べられている。

56_Clitocybe_socialis56 -  Collybia socialis D.C.
解釈 :Armillaria tabescens (Scop,) Emel.
異名 :Clitocybe tabescens (Scop.) Bres.
【和名:ナラタケモドキ (ナラタケ属)】

      このキノコは既に55番で説明したとうりだが、この図版で少し付け加えると、この子実体は老いたもので、傘は鐘形ではなく平らなまんじゅう形になって、中には中心が凹んだものもあり、周辺部にはうね状の条線がある。ひだは55番よりもっと垂生で、もっと薄い色合い。柄には縦の微繊維がほとんど条線を成し、多数の個体が基部で癒合し、そこにはごく若いつぼみが見られる。ナラタケモドキは、その時その時の正当な理由で様々な属に入れられてきた。最初は  Collybia,次に  Clitocybe,更に  Armillaria,再び Clitocybe,そしてまた Armillaria に戻ったが、それがいつまで続くやら...?誰もそれには答えられない。